| まるい虹を見た日 夏、やはり台風はやってきました。 私たちの暮らすこの古い家は、横から吹く雨風が苦手です。 そして、やはりちょっぴり雨漏りしてしまいました。 雨は上から降りてくるものと相場は決まっています。 横からとは、むむむ。 台風接近を知らせるテレビの天気予報では、例年に無いような方角から こちらへ近づいてくる台風の姿を映していました。 気温などにしても、例年に無いモノでした。記録的な雨量、記録的な酷暑。 「観測史上、最高気温を更新しましたねぇ」というセリフを、 同じニュースの同じキャスターが、2日連続で口にした日もありました。 素人判断で予想できない天気が続きます。 良く晴れた朝、さあ今日は出来上がったうつわを外にならべて乾かそうか、なんて 思った日の天気予報は、「昼すぎからは雷雨に見舞われるでしょう。」です。 移り気な空です。ころっころと空の様子が移る、この夏です。 ざあ、と降る予報通りの雨を、生乾きのうつわを横に恨めしく眺めます。 そんなある日、虹を見ました。 最初に気付いたのは、2才になったばかりの息子でした。 雨上がりの夕方、ちょうど3人で庭に出てきたところ 「ねぇねぇ、」と指さして教えてくれまして、そして彼の指さす先には、 色の濃い七色が空に描かれておりました。 丸い、虹でした。 東の小高い丘と、お向かいの屋根でちょっとだけかくれていましたけれど 見えていないところが容易に想像できる、とてもおおきな、まあるい虹でした。 私たちは年甲斐も無くはしゃぎましたし、息子は「わ〜、輪〜、」といって 彼の両手で囲ってつくった大きな輪のポーズのまま、興奮気味です。 まるい虹は、あららという間に消えてしまいました。けれど、心地良い後味です。 すごかったね、すごかったね、を3人で言い合いました。本当にきれいな虹でした。 いいもの見たな〜と心の底から思ったのでした。 そういえば、子供の頃はもっと空を眺めて過ごしていたなあ、と思い出します。 雲の流れる事や空から雨が降る事、太陽が光る事や月が満ちて欠ける事、 そんな事を、いつの頃からか当然の出来事と思ってしまっています。 それらの事象、本当はすごい事ですし、子供の頃は本気で疑問に感じたものです。 まるい虹を見た日、嬉しかったのです。 それは、いいもの見たな〜と心の底から思えた事の嬉しさと、 まだまだ身の回りにすごい事いっぱいあるぞ、と気付けた事の嬉しさなのです。 空を見上げて、むむ、あっぱれ。と思ってみたのでした。 |
![]() |
(2004年8月) |