制作の意味、製作の意味



工房の紹介をするとき、工房名の前に「陶器制作工房」と付けています。
「陶のうつわをつくっている工房です。」と、説明の意味で添えます。

つくる、という意味の「セイサク」には、「制作」と「製作」のふたつがあります。
岩屋工房では、前者「制作」を使います。こちらの方が、なんだか収まりが良いです。


先日、とある雑誌の取材を受けました。
「こちらの正式名称を教えてください。」との質問に、こう答えます。
「陶器制作工房、岩屋工房です。」
記者の方、「はい、陶器製作工房、ですね。」とメモされるのを見て、
こちら、「いえ、陶器制作工房です。」
記者の方、「は?」。困惑させてしまいました。

その日、取材を終え、さっそく国語辞典を引き直してみました。
ウチの本棚にある辞書にはこんな説明があります。

  「芸術作品を作る場合には「制作」を、物品や器具を作る場合には「製作」をと、
  だいたいは使い分けているが云々…」

陶器は物品であり、うつわは器具なのだから、正しくは「陶器製作工房」なのだろう、
ましてや芸術作品をつくっている訳では決して無いし。そう思ったのですが、
やはり前者「制作」を使う方が、自分にとって収まりが良いのです。
「陶器制作工房」でいたいのです。

理由はふたつあります。

ひとつは、この「制作」という言葉について使い慣れている、という点です。
美術の学校では、課題作品などをつくる場合、「制作」を当たり前に使います。
進級制作、課題制作、卒業制作、制作室、と学校中をいつも飛び交う言葉でした。
学生の頃からの使用頻度が、「制作」の言葉を親しみ易くしているのだと思います。

もうひとつ、「制作」という言葉にこだわりたいのは、こんな理由です。
私たちは、うつわが出来るまでの制作工程を大切にしたいと考えています。
「こんなのつくりたいな」とイメージをふくらませて、構想を練ります。悶々と思考し、
試作を起こし、徐々に最初のイメージをカタチに具体化してゆきます。
そして、製品に仕上げてゆきます。
カタチを具体化し、製品にするまでの工程を、工夫し、楽しむ工房なのですよ、と
自分たちのことを紹介したいのです。

「製作」は、製品を仕上げる作業を指す言葉です。けれど、
「制作」は、カタチの無いイメージの状態から、製品に仕上がるまでのすべての工程を
含む言葉です。岩屋工房は、そんな風に解釈します。


ただ単に、こっちの「製作」よりも、こっちの「制作」の方が好き、そんな話でした。
(2005年2月)

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