「試行錯誤と風」について


こうしてモノを作っていると、「第二の風」に
背中を押される感覚を味わう事がよくあります。

長距離走などの競技で、後半やがて苦しくなり、
もう自分の力の限界だ、走るの止めて歩いちゃおうかな、
という次の瞬間、ふっと足が軽くなって
なぜか安定したペースで走ることが出来たりします。
そんな時に背中を押す風を、第二の風と呼んでいます。

イメージをカタチに起こしてゆく行程の中では、
例えば、うつわを制作するとき、
試作を繰り返して想うカタチに照準を合わせてゆくのですが、
よいカタチに近づいては納得がゆかず、
また、納得がゆきそうなカタチだと思うと
制作工程に無理が出てきたりして、などと
幾度となく行きつ戻りつを繰り返します。

こりゃ無理だ、このカタチでは作るのやめとこ、
そう思って手を止めてしまうとそこまでなのです。
けれども、この辺りであきらめてしまわずに、
意地でもやめるか、と黙々と手を動かしていると次の瞬間、
ぐぐっと背中を押される様に、作業が進むことがあるのです。

その時にははっきりと意識出来ませんが、
後で思うと、第二の風を背中で受けたときの、ぐぐっとくる感じは
なかなか心地よいのです。

試行錯誤の中で、よい風が吹くことがあります。


(2003年8月)

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