野菜畑の楽しみ



新緑の季節です。

このところ草刈りを怠けていましたので、ウチの周りは雑草だらけです。
暮らすには良い季候だなあと感じる日毎に、雑草は茂ってゆきます。
真面目に、真っ直ぐ、にょきにょきにょきにょきとその身長を伸ばしてゆきます。
そして、刈っては生え、刈ってはまた生え、の生活がはじまります。
我が家は今、雑草のみどりの中にあります。

そんなみどりの庭の一画に、ちいさな野菜畑を作っています。
トウモロコシ、キュウリ、ナス、ピーマン、などなど、
今年も妻は幾つかの野菜の苗を選びました。
トマトは昨年に続いて植えています。
鈴生りに実が付いて、子供も私達も、たくさん美味しく食べました。
今年も楽しみです。まわりの雑草に追い付かんばかりに、元気に育っています。

野菜達には申し訳無いのですが、あまり手間を掛けてやっていません。
時々まわりの草抜きをして、水をやって、美味しくなれよ、と願うくらいです。
勿論、無農薬です。けれど、それが自慢の畑ではありません。
野菜達は皆、ひとりでにおおきく育ってゆきます。

我が家の野菜畑では、食べる為の作物が育ちます。
野菜なのですから当たり前の話なのですが、
いわゆる「育てる楽しみ」に重きを置いていません。
ひたすら「食べる楽しみ」を美味しく美味しく叶える為の畑作りです。
ですので、トマトの茎が太くなってゆくのをみると、思わず唾を飲み込んでしまいます。
やがて成るであろう真っ赤な実を、おもむろにもぎって、そして
おおきく口を開けて、じゅる、と頬ばる図を想像してしまうからです。

お店で買う野菜よりも美味しいです。いえ、美味しいと思います。美味しいかなぁ。
こんな風に言ってしまうと、プロの農家の皆さんに失礼です。
けれどそれでも、プロの腕で手間暇掛けて育てられた、ぷりぷりトマトよりも、
我が家のちいさな畑に、ただ植えただけで放ったらかしのでこぼこトマトの方が
やっぱり美味しいと感じてしまうのは何故か、というと、
トマトが成育してゆく行程を、その味に加味出来るからなのだと思うのです。

自分達の手で畑を耕し、実際に植えて、ぐんぐん伸びてゆくのを日々観察します。
やがてちいさな花を咲かせ、散っていったあとにはぷくっと膨らみが見えます。
徐々におおきく赤い実になるまでの、待ち遠しい時間があります。
実を付けるまでの月日の経過や環境の過程を、実際に目の当たりにする事によって
様々なイマジネーションが手伝って、トマトをより美味しく美味しくしてくれるのです。
イマジネーションのチカラで、野菜が美味しく食べられるなら、うれしいことです。
なんとも不格好な野菜であっても、庭のちいさな野菜畑出身というだけで、
私達にはこの上なく美味しいのです。

太陽の陽を浴び、土の水分を吸収して、ひとりでにおおきくなってゆく野菜達を見るとき、
恩恵を受ける私達は、ただ単純に、「えらいっ!」と大いに褒めてやるのです。

ウチの周りの雑草はというと、こいつらもまたスゴイ奴らだと日々感心するのですが、
やっぱり、何度見ても雑草は雑草です。それに、食べられませんし。

明日、草刈り機を回そうと思います。



(2004年5月)

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