「時間と秒針」について



こうしている間にも、時間は刻々と過ぎてゆきます。
決して止まる事はありません。
例えばウチの壁に掛かっている時計がぴたりと止まっても、
それは機械の故障か、電池が切れただけです。
おんぼろ時計を置いてきぼりに、時間はどんどん先へと進みます。
今日やらなくちゃならないことがどんなに山積みでも、お構いなしです。


もう10年も前の話です。
「secondhand」という作品を制作しました。秒針、という意味です。
時間を刻々と刻み続ける秒針に、興味が湧いたのです。
長さ2m25pの、秒針を表すカタチをギャラリーの壁面に7本、
等間隔に並べる、というものです。
7本それぞれに色々な色でドローイングを施しました。

この時の秒針は、1秒間に1回、かちっ、と動くものでなくては
なりませんでした。決して、高価な時計によくある、じわあ〜っと動く
賢そうな秒針であってはいけませんでした。
幸いにして、当時下宿していた部屋には、廉価なおんぼろ時計が
かちこち、かちこち、と音を響かせていました。
そのおんぼろ時計を、その頃よく写真に撮っています。
例えば、シャッターを7秒間開放にして、時計の秒針を7本写してみる、
そんなおかしな写真ばかりでしたけれど。
一瞬では無く、7秒間の時間を切り取ってみたかったのでしょうか。


あれから10年以上の時が経過しています。
生まれてから死んでゆくまでを、一生、という単位で認識するよりも、
数千万秒の時間があって、秒針は数千万回も時を刻む、とすれば
のんびり構えてゆきましょうか、なんて楽な気分になれるのでは、
と、当時のあの制作を思い出しながら、
いま、そんな事をかんがえたりするのです。




(2003年9月)

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