FOR BEGINERS
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ビーチ・ボーイズって、サーフィンのバンドでしょというのが、一般的な捉えかたになっていますが、実際には実に多様な音楽性を持ったバンドなのです。ただし、時代が早すぎたのか、サーフィン系以外はヒットしませんでした。昔も今も、夏のBGMを期待され続けてきたが故のことでしょう。そこで、約30年のレパートリーを6つのパートに分け、ここでご説明したいと思います。(この分けかたは、わかりやすいよう、私が独自に考えています。定説とされたものではありません。) |
| 今BB5(ビーチ・ボーイズ)に興味を持ったあなたはしあわせです!
2000年には長らく廃盤だった70年代以降のアルバムが再発され、これによって輸入盤であればすべてのカタログが入手可能になりました。日本盤のSUMMER IN PARADISEは廃盤ですが、あとは探せば入手できます。さらに98年に発売されたULTIMATE CHRISTMASには70年代の未発表クリスマスアルバムの音源が丸ごと収録されるなど、過去の音源の掘り起こし作業も進行中! 今、興味を持ったあなたはほんとうにしあわせです。 |
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第2期 ビートルズへの挑戦(1966-1967)
当時、チャート上では、ビーチ・ボーイズとビートルズは競いあう存在でした。しかし、それはシングルだけのこと。まだまだ、アルバム=シングル曲集というイメージが強かった、当時のポップス界において、聴くためのアルバムを提示しはじめたのも、この2バンドでした。 1965年11月に発表されたビートルズのRUBBER SOUL。それ以前からもBEACH BOYS TODAY!などで、トータル・コンセプトのアルバムを発表していたブライアンの我慢はこのRUBBER SOULで限界をきたします。ビーチ・ボーイズの他のメンバーがツアーで留守中に、スタジオ・ミュージシャンを使って、アルバムPET SOUNDSを作り始めるのです。 ツアーから戻って来たメンバーが聴いたのは、サーフィンもクルマも登場しない音楽。ビーチ・ボーイズのヴォーカル、マイク・ラヴは犬にでも聴かせるのかと言い放ち、皮肉にもそれがPET SOUNDSというタイトルになります。 ※マイク・ラヴは現在ではPET SOUNDSが最も好きなアルバムだと言っているそう。しかも、上記の「犬にでも〜」は間違いだとも述べているらしい。しかし、発表されたPET SOUNDSは、セールス的には芳しい成果を上げることはなく、焦ったレコード会社は、サーフィンのヒット曲を集めたベスト盤を急遽発売し、それがまた売れてしまったりします。当時、多くの人がビーチ・ボーイズにビートルズ的なものを求めていなかったことの証明でしょうか。 しかし、月日が流れ、じわじわとPET SOUNDSの良さは、少しづつ理解されて来ました。今では多くのミュージシャンがフェイヴァリット・アルバムに挙げ、その影響を自分の作品で表現しています。 もちろん、ビートルズ本人たちは、すぐにビーチ・ボーイズの変化を直感。自分たちのサウンドにも反映させ始めます。PET SOUNDS収録の"GOD ONLY KNOWS"のアンサー・ソングとして、ポール・マッカートニーが作ったのが、"HERE,THERE AND EVERYWHERE"とも言われています。 PET SOUNDSを発表したブライアンは、さらに先を行こうと悪戦苦闘します。その成果が有名な"GOOD VIBRATIONS"。この曲によってビーチ・ボーイズは、アメリカ、イギリスともにビートルズを抜き去ります。そして、PET SOUNDSを越えるアルバムとして、"GOOD VIBRATIONS"を収録するアルバムSMILEの制作に入ります。 ところが、ドラッグの多用や精神的なプレッシャーにより、ブライアンはついにアルバムを完成しないまま、その作業を放棄。一方のビートルズは、満を持してSGT PEPPERS LONLY HEARTS CLUB BANDを発表します。
【この時期の主な作品】
1は、今では名作と評されているアルバム。ビーチ・ボーイズからイメージされるサウンドとは違いますが、聴けば聴くほど良さがわかるアルバムです。2、3は、次作"SMILE"のために作った曲。当時の録音技術を駆使したサウンドは、今聴いてもはっとするものがあります。 |
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第3期 新たなサウンドの模索(1967-1971)
アルバムSMILEを断念した頃、ジミ・ヘンドリックスがそれを宣言したように、すでにサーフ・ミュージックのブームは終わっていました。リーダーであるブライアンの創作意欲も欠落したビーチ・ボーイズは、なすすべもない状態。とりあえず、SMILEの曲を再編集したアルバムSMILY SMILEを発表し、急場をしのぎます。 もはや、サーフ・ミュージックにも戻れなくなったビーチ・ボーイズは、よりハードなロック、フラワー・ムーヴメント、それらを横目で見ながら、次から次へと異なったタイプのアルバムを発表して行きます。 まさに、模索期と言ってもよいでしょうが、それが90年代に入って再評価され、日本でも"渋谷系"と呼ばれたミュージシャンたちが、この時期の作品をフィーチャーした音楽を発表していました。そして今もその流れは静かに拡散し続けています。 【この時期の主なアルバム】
1は「SMILEの出がらし」と呼ばれている作品。実験的要素が強く、モンド的な音楽ファンには人気がある。2は、今で言うブルー・アイド・ソウル。ビーチ・ボーイズが演るソウルはそれなりに楽しめます。3は穏やかなポップスが中心の1枚。ソフト・ロックと呼ばれている範疇に入ります。PET SOUNDSを気に入った方は、この3と5をお聴き下さい。4は普通のポップ/ロック的。5、6も同路線。特に5は、かなり評価されています。今ではそれなりに評価されているこれらのアルバムも、チャート的には最悪の状況でした。詳しくはこちら。 |
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第4期 ブライアンの不在と復帰(1972-1981)
かつての勢いを失ったブライアン・ウイルソンは、1971年頃から自宅のベッドに籠りはじめ、レコーディングにも部分的にしか参加しなくなります。残ったメンバーが知恵を絞ってアルバムを作りますが、なかなか良いものにはなりません。 しかし、1976年頃、治療により回復したブライアンが復帰、15 BIG ONESというアルバムをプロデュースした後、ビーチ・ボーイズの新局面を見せるアルバムLOVE YOUを発表しますが、人間関係や精神的な問題から傷つき、再びスタジオから離れて行きます。 結果的に、この10年間は、ブライアンの関与に比例して、作品の善し悪しも分かれていきました。音的には、かつてのビーチ・ボーイズとは異なり、ロック及びブルースの要素が増えています。 【この時期の主な作品】
この時期では上記でも述べたように、4のLOVE YOUというアルバムが評価されています。シンセサイザーをベースにした、コーラスの少ないビーチ・ボーイズ。ブライアンがどこまでやったのかは不明ですが、この時期のBB5とは明らかに違う完成度の高い音はBB5の歴史を語る上でははずせない内容。その他は「全アルバムを制覇・把握」したいって方以外には積極的にはおすすめできませんが、とりあえず上記の寸評を参考にしてください。 |
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第5期 BB5復活とブライアンのソロ(1985-1989)
そして時代は80年代に突入。ハードなサウンドが主体だった70年代に比べて、再びポップスが台頭しはじめます。ビーチ・ボーイズも、初期の曲を中心に再評価されるようになりました。 1985年に、カルチュア・クラブで名を馳せたプロデューサー、スティーヴ・レヴィンがビーチ・ボーイズを手掛け、ボーイ・ジョージやスティービー・ワンダーも参加したアルバムTHE BEACH BOYSを発表。デジタル・サウンドに乗って繰り広げられる、かつてのカリフォルニア・サウンドは、ちょっとしたヒットを記録し、ビーチ・ボーイズの復活を見せつけます。 そして、1988年の映画『カクテル』の主題歌"KOKOMO"。"GOOD VIBRATION"以来の全米ナンバー1ヒットを記録しますが、実はその時、すでにブライアン・ウイルソンはグループを離れ、ソロ活動をはじめていました。 【この時期の主なアルバム】
1は第1期のサウンドを新しく解釈したアルバム。2は"KOKOMO"を収録したアルバム。今風のアメリカン・ポップスでもビーチ・ボーイズが成り立つことを証明しましたが・・・。2以上にビーチ・ボーイズ的なのが3のブライアンのソロ・アルバム。ポジティブなPET SOUNDSとも思えるサウンドは、いくらブライアンの声がしわがれ声になっても評価に値します。 |
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第6期 ロストコントロールのすえに(1992-2000)
結局、ビーチ・ボーイズとブライアンは、部分的な交流しかないまま、現在に至っています。96年あたりに試みたBB5としてのレコーディングを中断したまま、ブライアン、マイク、そしてアルは独自の活動を再開。そしてカールも亡くなった今、BB5が再び揃うことは、もしかしたらありえないのかもしれません。90年代に入って、ようやくPET SOUNDS〜SMILEの再評価が始まったものの、それは余計にブライアンのソロを推し進める結果にもなり、ファンとしては複雑な心境の人も少なくないのではないでしょうか。良い作品であろうと売れない不遇の時代を長く過ごした苦しみのすえ、作品に対してのバランス感覚がとれなくなったビーチ・ボーイたち。果たしてそれぞれのビーチ・ボーイズは、それぞれの道を歩んでいるのか、単に余生を楽しんでいるのか・・・。ビーチ・ボーイズをめぐる長き物語、その大団円は果たしてどんなカタチでやってくるのでしょうか? 【この時期の主なアルバム】
1は、サーフィン・ブームに乗じて、デビュー曲を今風に再演したり、ラップ調の曲をやったりという内容。面白いが・・。2はブライアンの偉業を称える同名映画のサントラで、主に第2〜3期の曲をブライアンがセルフ・カヴァー。穏やかで渋い仕上がり。3はSMILE時代の共同制作者、ヴァン・ダイク・パークスとのコラボレーション。曲はすべてヴァン・ダイクのものだが、若々しさを取り戻したようなブライアンのヴォーカル+コーラスが聴ける。この時期でまずオススメするのはこれ。4はカントリーのシンガーが、ビーチ・ボーイズの名曲(主に第1期)をカヴァー。ビーチ・ボーイズがコーラスをつとめたという、ちょっと安易な内容。5はブライアンの奇跡のセカンド・アルバム。穏やかなAOR的仕上がりは賛否が分かれた。詳しくはこちら。6はブライアンのソロに対抗(?)したマイク主導のカバー集でノベルティものだが、一時期は日本の外資系ショップにも並んでいた。7はすっかりツアー慣れしたブライアンの2日間のライブを収録した2枚組CD。インターネットのみで販売されたが、やはりこちらも外資系ショップで時折見かける。ブライアンの音楽を楽しもうという設定が心温まる内容。詳しくはこちら。後に日本盤も発売。8は名アルバム「ペット・サウンズ」をそのまま演奏するというツアーを収録したCD。7以上に暖かい、そして長きツアーで熟練した演奏が聴ける。日本盤にはボーナス・トラックあり。9はブライアン編集のビーチ・ボーイズの最新ベスト。ベストとしての選曲は各年代を押さえたそつないものながら、最後にブライアンの最新スタジオ録音曲となる「カリフォルニア・フィーリン」が含まれるのが最大の特徴。日本では人気ドラマの挿入曲に使われたことも話題となった。 |
終わりにこれが、ビーチ・ボーイズについての概要です。これを読んで、少しでも気になる部分がありましたら、ぜひその時期の曲を聴いてみて下さい。音楽を聴くという行為は、結局、自分で自分に合うものを探し出す喜びにほかなりません。ビーチ・ボーイズがあなたにとって、その鉱脈となったとしたら幸いです。 改訂:2002/10/27 |