ORIGINAL
SMILE
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98/01/15●"うろじんし"さんの場合 その後ルイス・シャイナーに続きついに完成! うろじんし版オリスマ2部作
"SMILE"を構築する際に問題になるのが、まず残された音源に未完成のものが 多く、また別々の曲でも同じモチーフを使用したものが多いことから、その中の どれを選択すべきか。特に、"Elements"組曲の各パートがどれなのか、判断 (判定)するのが第1関門となる。 そして、より重要なファクトとして、ブライアンの理想とする音楽を追求するの か、あくまでもBB'sという枠組の中での最高傑作としての完成度(ポップ度)を 重視するのか。オリスマづくりを志すものは、まさに『リアル・ストーリー』や 『グリンプス』で描かれたブライアンの葛藤を共有することになる。 さて、肝心のうろじんし版オリスマだが、これらの問題については、よりストレ スの少ない方法が選ばれている。すなわち、オフィシャル・リリースされていな い音源はすべて未完成なのだから、聴く側の感覚で自由に編集できる。ジャケットに刷り込まれた曲名や"ELEMENTS"に関する既存の情報や憶測もあえて無視 し、またメンバー間のしがらみから遠い人物(ブルース・ジョンストンと仮定)が共同プロデュースしたつもりで、一つのアルバムとしての「流れ」を重視し、聴いて楽しく、人を驚かせることができる(過去のポピュラー音楽で前例のない)ものを目指して作られた。 そして今ヴェールを脱ぐのは、後の"HOLLAND"やS.ワンダーの"KEY OF LIFE "の先駆となる、当時出ていれば史上初(?…根拠はない)となる「ボーナスEP付き」アルバムである。 では、内容をご紹介しよう。
THE BEACH BOYS/SMILE (Urojinshi Edition)ALBUM SIDE ONE:
BONUS EP SIDE ONE:
[各曲の解説]A-1:ラストで吹き出してしまうテイクを使用。他よりも崇高なイメージが強 い。この曲のリハーサルの時ブライアンが“This is intro. to the album.”と 言っているので、それを信じてオープニングにした。(シャイナー版にはこの曲 は含まれていない)A-2:ディキシーランドスタイルのインスト曲TonesからなぜかHeroes And Villainsの一部であるBarnyardへとつながるヴァージョンがブートに収められて いることと、「アメリカの音楽のルーツを辿る」というアルバムのテーマ(の一 つ)にも合致することから、H&Vへの導入として収録。ここでは、ブート版で気 になったつながりの悪さを、5秒ほどカットすることで処理した。 A-3:ピアノの連弾によるBicycle Riderのテーマから怒涛のドゥワップ風アカペ ラコーラスになだれ込み、悪漢たちの「むさぼり食い」パートを経て再びタイト ル連呼コーラスへ。それからオフィシャルヴァージョンでおなじみの“My children were raised...”につながり、いったんF.O.。(In the cantina...は 含まず)間髪入れず、次のトラックが始まる。 A-4:ブート版の後半、ピアノだけになってテンポダウンするところ(「エリー ゼのために」みたいになるところ)から、Heroes And Villainsの野獣コーラス (Ooga wah...)へつなげ、ストリングスのドラマティックなパートから牧歌的 になり、ホルンのソロになってフェルマータしたところで元へ戻ってピアノによ るBicycle RiderのテーマF.O.でおしまい。 A-5:もちろん、ハープシコードをバックにブライアンが歌うヴァージョンを使 うが、1コーラス目のみインスト版を使用し、ベースが入ってくるブリッジ部分 から歌入りヴァージョンにつなげる。(前の曲からの流れが絶品!)さらに、ラ ストのベースソロがF.O.する前に再びインスト版の同パートにつなげ、かすかに 響くピアノのエンディングを活かす。(次の曲への流れがこれまた絶品!) A-6:2in1シリーズのボーナス・トラック(G.V.Boxヴァージョン?)ではなく、 緊張感あふれるアカペラ・コーラスから始まる初期ヴァージョンを使用。性急な リズムを刻むハンドクラッピングやバネみたいな響きのタンバリン(?)、ホワ イト・アルバムでのリンゴを思わせるタイトなドラムなど、短いながらも聴きど ころたっぷりのこの曲は、たとえSMILE用の録音ではなかったにせよ、個人的に はアルバムのハイライトとして位置づけたい。 A-7:PET SOUNDSでの“Let's Go Away For A While”と同じような位置を占める インスト曲。G.V.のラスト近くのコーラスパートをモチーフにしていること、ま たディキシーランド調の展開など、SMILEにふさわしいので外せないと確信して いる。 A-8:A面の流れの中での統一感を考え、あえてカールのリードヴォーカルの入っ ていないブート版2種類を使用。前半は“Dwin dwin...”と“Who ran the iron horse... ”だけが入ったヴァージョン、後半はコーラスのまったく入っていな いステレオインスト版を使用。ワルツに変わりファズベースがうなる中シタール (?)が宙を漂いながらA面がF.O.。(「早すぎたプログレ」と評価されるこの曲 は、やはりこのアルバム以外には収めようがなかったのでは・・・) B-1:「ティーンエイジのための一大ポップ・シンフォニー」というからには、 完璧な「ポケット・シンフォニー」であるこの曲を入れたい。ただし、ここでは よりドラマティックな展開を目指し、ブートでおなじみのインストヴァリエーシ ョンの中で最もスペクタクルなテイク(アクション映画のサントラみたいな奴) をオフィシャル版のF.O.間際のところからつなげてみた。 B-2:その壮大なイメージを引き継ぎながら、宗教的とも言えるテーマのこの曲 へ。ちなみに、この曲とHolidaysのイントロは、似て非なるもの。よく聴けば、 和音構成や曲全体の中での意味合が全然違う(SatisfactionとJumpin' Jack Flashのイントロを混同しやすい、っていうのと近いかも)。 B-3:この曲がElementsの「地」のパートだ、という定説は本当は嘘(ブライア ンの出まかせ?)だとして、あくまでも一つの独立した曲として考えた(『グリ ンプス』ではWind Chimesは「風」じゃなくて独立した曲、とブライアンに言わ せている)。採用したのは、途中ピアノの低音でブレイクが入り、ラストに Heroes And Villainsのヴァリエーションみたいなアカペラ・コーラスが登場す るコラージュたっぷりヴァージョン。誰も指摘しないけど、ポールが参加したの は、妙に左手(低音)が強いピアノのパートでは? B-4:もちろん、マリンバをバックにブライアンが静かに歌う(そして後半いっ きに張り詰めたコーラスに突入、かと思ったらバイエルみたいなピアノの連弾に 変わってF.O.)ヴァージョンを使用。隠し味として、昔のアナログ盤でよくあっ た「次の曲のイントロのゴースト」がかすかに入る。(ブートに入っているのを そのまま使用) B-5:サイレンの音から“Fall Breaks And Back To Winter”の原曲といわれる パートに入り、続いてドカスカドラムが暴力的なFireパートへ。燃える炎のS.E. をオーヴァーダビングする前のヴァージョンを使用。(本当は、最後の焼け落ち るパートまで入れたかったが・・・) B-6:ここから、『グリンプス』でもブライアンが収めどころに悩んでいた “George Fell Into His French Horn”の各パートを曲のイントロに使用。まず は、象の群れが鳴いている様子を各種ホーンで表現した(?)パートからCool Cool Waterへ。淡々と続くコーラスで、前の曲の「熱」を冷ましていく。 B-7:続いて、制作末期にブライアンがこだわった「ユーモア」を色濃く感じさ せる、ホーンどうしの会話(談笑?)パートから、楽器を加えた奏者たちの会話 へ。(『グリンプス』版ではG.V.の次に入れられていた)そして、アルバムのハ イライト曲へ。ここでは、まずブライアンのヴォーカルが入る前のインスト・ヴ ァージョンで始まり、改めて歌入りヴァージョンへつながるブート版を使用。と りあえずそのままラストまで行くが、よりドラマティックにする場合は、途中か らChild Is Father Of Manの絡むオフィシャル版につなげるのもいいだろう。 B-8:ブート版のSurf's Upだとエンディングが物足りないのと、「イノセント・ エイジ=アメリカン・ドリームの終焉」というテーマにふさわしいという理由 で、デニスが無表情に歌うこの曲をフィナーレに持ってきた。(最後のストリン グスのベンド・ダウンが、Sgt.Pepper'sのエンディングを連想させたりして) 長く長く長くなってしまいましたが、とりあえず本編の解説は(終電の関係で) これにて一旦終了。 また続きは後日、ということでバイ、ナラ。(ラナイバ)
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| 【管理人コメント】
予告どおり、ついに来ました、うろじんしさんのオリスマ。ちなみに本文にある『グリンプス』とは、創元SF文庫から最近発売された小説。レコーディング風景を思い浮かべることで、どういうわけかあるはずのないレコードを録音できる能力を持ってしまった主人公が、ビートルズ、ドアーズ、ジミ・ヘンドリックスの未完成レコードを完成させてしまう。当然ながらBB5では「SMILE」が選ばれ、この小説の裏テーマ(父と子のつながり)と密接に絡む中心的存在となっている。詳しいことはこれ以上は言えませんが(本体940円、ISBN4-488-70901-X)。 で、私はありがたいことに、うろじんしさんからこのオリスマMDをお送り頂いたのですが、なかなか聴く時間がなく、最初に聴いたのが移動中の新幹線で『グリンプス』を読みながら、となってしまいました。 でも、そのシチュエーションがよかった。『グリンプス』に登場する独創的な「SMILE」と、うろじんしさんのこれまた独創的な「SMILE]は、具体的な内容は違うものの、ある同じ方向性を示していてとても興味深かったから。 それはなにかというと、既存のさまざまな情報や推測をいったん横に置いて、自分がブライアン・ウイルソンになったつもりでコンパイルしてしまうこと。 このコーナーを開設した理由のひとつには、書籍や雑誌などからの情報を集めて「SMILE」を構成してみると(あるいは、そういう意図で構成されたブートを聴くと)、とても「サージェント・ペパーズ〜」を超えるようなアルバムではなく、ややこしい曲を寄せ集めたトータル性に欠けるものとしか感じられなかったから。「結局、完成していないアルバムなら、本人の意図を中途半端に推測するのではなく、もっと自分流のスマイルの提示があってもいいのに」と思ったのです。情報を集めて編成したとしても、本物が完成していないのなら、どう作っても本物に近づくという証拠はない。それならば、もっと楽しんで作ればいいんじゃないかということですね。このコーナーに集まっている他の「オリスマ」も、みなさん、自分ならではのテーマで「SMILE」に取り組んでいる点で、面白く、また、とてもうれしく思っています。 というわけで、付属EPも含め、かなり独創的なうろじんし氏のオリスマに対して、「俺はこう思う!」というさまざまな「オリスマ」がこのページにさらに集まれば、さらに良いのではないかと思っています。ちなみに私も「SMILE」の曲をサンプリングやループさせた「オリスマ」を作りかけていたのですが、間違えてMDをイレーズしてしまいやめてしまいました。またいつか。
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