ORIGINAL SMILE


スマイルって何だ?


  • あなたのオリスマの宛先はこちらです。

 1966年5月。「Pet Sounds」を作り終えたブライアン・ウイルソンは、「PET SOUNDS」を越えるアルバムを作ろうと考えた。新たなパートナーに、ヴァン・ダイク・パークスを選び、「Dumb Angel」という仮タイトルのアルバムがスタートする。

 最初の録音は「Pet Sounds」録音時に完成出来なかった"Good Vibrations"。御存じのとおり、全米1位を成し遂げた曲である。この曲にイメージされる「すべてが新しい神に捧げるティーンネイジ・シンフォニー」をメイン・コンセプトとし、「ユーモアと音響効果のアルバム」、「遥かな過去のアメリカ西部へのタイム・トリップ。僕の考えるアメリカがすべて詰め込まれる」、「キャンプファイア・ミュージック。労働歌。ウエスタン・フォーク・ミュージック。ラテン・ジャズ…」という指針を打ち出した。

 続いてレコーディングされたのが"Heroes and Villains"。複雑な構成のこの曲は、何テイクも作られ、ショート・エディットされたシングル・ヴァージョン以外には、ブライアンがどういう完成形を描いていたのかは、いまだにわからない。

 仮タイトル「Dumb Angel」は、「浮かべたスマイルは、いずれ自分に帰ってくる」という、アメリカ・インディアンの教えにちなんで「Smile」というアルバム名に変更されるが、ドラッグの多用と制作へのプレッシャーにより、ブライアンはだんだんと客観性を失っていく。「いいのか悪いのか判断出来ない」ブライアンは、少しずつおかしな行動をとり、レコーディングは遅れ始める。

 レコード会社・キャピトルは、レコーディングの終了を待ちきれず、ブライアンが提出したメモをもとにアルバム・ジャケットを制作する。そこにはこんな曲名が書かれていた。


  1. Do You Like Worms
  2. Wind Chimes
  3. Heroes and Villains
  4. Surf's Up
  5. Good Vibrations
  6. Cabin Essence
  7. Wonderful
  8. I'm Great Shape
  9. Child Is Father of The Man
  10. The Elments
  11. Vega-Tables
  12. (The Old Master Painter)

 50万枚近く印刷されたアルバム・ジャケット。そして67年1月発売を告げる、予告ポスターやラジオ・スポットにも関わらず、レコーディングは進まない。ヴァン・ダイク・パークスがブライアンのもとを去ったこともあって、結局、リスト上のすべての曲が完成できないまま、67年5月。ブライアンは制作のストップを決定する。

 そして、その後、THE BEACH BOYSのメンバーの手により再録音された2、3、7、11を含む「Smily Smile」が発売され、残った曲も再録音やオーヴァー・ダビングにより、67年以降の数枚のアルバムの片隅に一曲、また一曲と収録されていった。

 80年代に入り、この「Smile」の海賊版が出まわりはじめる。結局、完成できなかったアルバムだけに、曲順や、どの曲が採用でどれがボツかは海賊版によって異なる状態にある。さらに、93年に発売された、ボックス・セット「Good Vibrations」には、それまで未発表だった1、2、4、7、11が収録され、「Smile」についての関心は高まっている。

(参考文献/『モンド・ミュージック』リブロポート)



オリスマの目次に戻る